会社と自分、どちらを信じて働く?― 40代から見つめ直す「私の軸」

会社と自分、どちらを信じて働く?― 40代から見つめ直す「私の軸」

最近、パソコンに向かっていても心が空回りするような日が増えた。
一日が終わるころには、「ああ、今日はもう無理かも」と思わずつぶやいてしまう。

別に、仕事が嫌いになったわけじゃない。
でも、心のどこかで何かがチクチクと引っかかる。
その正体がわからないまま、手帳を開いて一行だけ書いた。

「仕事のモチベーションが下がった気がする」

その文字を見て、ふっと息をついた。
たぶん私は今、少しだけ自分を見失っている。

「会社の方針」に心がざわつく日

私の勤めるIT企業は、常に変化の真ん中にいる。
新しい技術が生まれるたびに、方針は少しずつ書き換えられる。

スピード感は刺激的で、学びも多い。
けれど同時に、目指す方向が曖昧になることもある。

昨日まで「これを進めよう」と言っていたのに、
今日になると「やっぱりこっちを優先で」と変わる。

そんな時、私はいつも戸惑う。
「私は何を信じて働けばいいんだろう?」

頭では理解していても、心が追いつかない。
方針の裏にある“人の思惑”が見えてしまう年齢になったからこそ、
余計に割り切れなくなる。

20代の頃は、ただ言われた通りに動けばよかった。
けれど40代になった今は、
「誰のために」「何のために」働くのかが気になってしまう。

芯がブレる会社と、ブレたくない私

方針が揺れると、働く側の心も揺れる。
特にチームをまとめる立場になると、
自分の迷いがそのままメンバーに伝わってしまう。

「なんのための仕事なのか」
「この方向で本当にいいのか」

そんな根っこの部分を見失うと、
モチベーションはあっという間にすり減っていく。

それでも前を向くために、私は手帳を開く。
仕事のメモではなく、心のメモ。

「なぜ私は、この仕事を続けているのか?」
「私が大切にしたい“働く意味”とは何か?」

その問いを、静かに書き留める。

書きながら思った。
“養生”という言葉は、体だけでなく、
心にも当てはまるのだと。

働くことにも「養生」がいる

養生とは、無理をせず、今の自分の状態に気づくこと。
痛みや不調を否定せず、「あ、疲れているんだな」と受け止めること。

仕事もきっと同じだ。
会社に合わせるばかりではなく、
自分の“働く軸”を確かめておくこと。

それができれば、方針が変わっても、
心まで振り回されなくなる。

私にとってその軸は、「人の心を大切にすること」。

AIがあらゆることを代わりにこなしてくれる時代。
だからこそ、私たち人間ができることは、
“心を添える”ことだと思っている。

効率だけを追い求めるのではなく、
相手の気持ちに寄り添う一言を添える。
その小さな温度が、きっと誰かの力になる。

「AIに心を宿す」という仕事

私はプロンプトエンジニアとして、
AIがより自然に、より人に寄り添う言葉を返せるように設計する仕事をしている。

AIには心はない。
けれど、言葉の温度やリズムを工夫することで、
まるで“心があるように”感じさせることはできる。

私が作るプロンプトの一つひとつは、
いわば“人の思考と機械の間”にある小さな橋。

その橋を、丁寧に、誠実にかけていくこと。
それが私の働く意味であり、ブレない芯だと気づいた。

不調な自分もまるごと認めて

40代になって、体調の波も増えた。
朝からだるくて集中できない日もある。
そんなときは、かつての自分なら焦っていた。

「もっと頑張らなきゃ」
「みんなはちゃんとやってるのに」

でも今は違う。
「今日はちょっと無理をしない日」と決める。
温かいお茶をいれて、手帳を開く。

ページの余白に書くのは、反省ではなく“現状報告”。

「今日は頑張らなかった。でも、生きてる。」

それだけでもう十分。
無理をしない自分を認めたとき、
心はふっと軽くなる。

仕事の不調も、人生の一部。
そんな風に思えるようになってから、
焦りよりも穏やかさが増えた。

自分を信じることから、働く意味が生まれる

会社を信じることも大切。
でも、もっと大切なのは、
“自分を信じること”。

誰かの指針を待たずに、
自分の心の声を信じて働く。

それが、これからの時代を生きる
40代の働き方かもしれない。

私はこれからも、
効率の中に“人間らしさ”を見つけながら働いていきたい。

そして夜、手帳を開いて思う。

「今日の私は、ちゃんと自分を信じられたかな?」

その問いかけが、私の小さな羅針盤。
働くことは、生きること。
生きることは、自分を信じること。

それを少しずつ学んでいる。

今日も小さな養生を。

Wrote this article この記事を書いた人

ミカ

手帳と暮らすミカです。 薬剤師・和漢薬膳師として、心と体の「めぐり」を見つめながら暮らしています。 40代を迎え、心や体の声に耳を澄ます日々。 手帳を開く時間は、私にとって小さな養生であり、静かな儀式です。 ここでは、ほぼ日手帳に綴る日々の出来事や心の揺れを通して、 「人間らしく生きる」ためのヒントを探しています。

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