大好きな存在を「形」にする贅沢。写真シールに込めた想いと、40代の心の養生日記

大好きな存在を「形」にする贅沢。写真シールに込めた想いと、40代の心の養生日記

Temuで注文していたカスタムステッカーが届いた。
愛犬チョコの写真を送って作ってもらった、世界にひとつだけのシール。

封を開けた瞬間、胸の奥がじんわりと温かくなった。
そこには、優しい瞳のチョコがいた。
まるで「おかえり」と言ってくれているような笑顔。

わたしがこのカスタムシールに心底満足しているのは、
ただ画質がきれいだからではない。

大切な存在を“かたち”にしてくれたことで、
もう一度、あの子に会えたような気持ちになれたからだ。

それは今のわたしにとって、なくてはならない心の養生。
穏やかに呼吸を整えるための、小さな“おまじない”のようなものだ。

チョコが教えてくれた、やさしさの形

チョコは12歳だった。
3年前から心臓の病気を患い、長い闘病生活を送っていた。

それでも最後まで、弱音を吐かずに頑張ってくれた。
家族みんなが支え合い、
「今日もがんばろうね」と声をかけ合って過ごした日々。

6月、静かに息を引き取った。
まるで眠るように、穏やかな最期だった。

覚悟はしていたつもりだった。
けれど、玄関の足音が聞こえない日々がこんなにも寂しいとは思わなかった。
家の中の静けさが、やけに重く感じられた。

「形」にするという心の記録

わたしはIT企業で働いている。
データや画像をクラウドで整理するのは得意だ。

でも、データはどこか、実体のないものだと感じてしまう。
どれだけ保存しても、そこに“温度”がない。

だからこそ、紙の手帳に書く。
ペンで触れた文字や、貼ったシールの質感に触れることで、
確かに“生きている”と思える瞬間がある。

今回のカスタムシールは、単なるデコレーションではない。
それは、わたしの「心の記録」だ。

手帳を開くたびに、チョコの笑顔が目に入る。
悲しみよりも、あの子と過ごした時間の温かさを思い出せる。

それは、ゆらぎやすい40代の心を、
静かに整えてくれる“養生の時間”になっている。

丁寧な暮らしは、心の居場所をつくること

40代に入って、「丁寧に暮らす」という言葉の意味が変わってきた。
それは、完璧に整った部屋や、美しい生活を指すものではない。

本当に大切なのは、
“自分の心をどこに置くか”ということ。

天国に旅立ったチョコの面影を、
いつまでも探してしまう自分がいる。

だったら、探し続ける代わりに、
チョコの居場所を自分の手帳の中につくろうと思った。

そこには、好きな色のマスキングテープや、
お気に入りの文房具が並んでいる。
その中に、チョコのシールを貼る。

それだけで、ページが少しだけ明るくなる。

悲しみも、優しさも、懐かしさも。
ぜんぶひっくるめて“わたしの暮らし”として残していける気がした。

「かわいい」は、心を癒す処方箋

わたしたち40代は、仕事、家事、子育て、体調のゆらぎ…
毎日の中で、いくつもの不調和を抱えながら生きている。

そんな日々の中で、
「かわいい」と思えるものがそばにあることは、
心にとって何よりの薬だ。

マスキングテープ、ステッカー、
ふと笑ってしまうような動物のイラスト。

どれも、ほんの数センチの紙片だけど、
そこに詰まっているのは、確かな“癒しの力”だ。

愛犬の顔が笑っている。
それだけで、不思議と呼吸が深くなる。

お守りのように、日常を連れて歩く

チョコの写真シールを貼った手帳は、
今ではどこに行くにも一緒だ。

仕事のデスクの上でも、
家事の合間のティータイムでも、
ふと手帳を開けば、そこにあの子がいる。

「今日もがんばってるね」と
静かに見守ってくれているような気がする。

AIがどんなに進化しても、
こうした“温度のある記録”は、
人間にしかできないことだと思う。

形にすることで、心が整う

チョコがそばにいなくなっても、
この手帳の中で、
わたしは何度でもチョコに会える。

その存在を「形」にして残すことが、
悲しみを癒し、日常に穏やかさを取り戻すための、
大切な心の養生になっている。

わたしにとって、丁寧な暮らしとは――
愛しい存在を、自分らしい方法で抱きしめること。

そしてそれを、手帳という小さな世界の中で、
そっと生き続けさせてあげること。

そう思うと、
今日も手帳を開く時間が、いっそう愛おしく感じられる。

大好きな存在を「形」にすること。
それが、わたしの今を支えてくれる静かな贅沢です。

今日も小さな養生を。

Wrote this article この記事を書いた人

ミカ

手帳と暮らすミカです。 薬剤師・和漢薬膳師として、心と体の「めぐり」を見つめながら暮らしています。 40代を迎え、心や体の声に耳を澄ます日々。 手帳を開く時間は、私にとって小さな養生であり、静かな儀式です。 ここでは、ほぼ日手帳に綴る日々の出来事や心の揺れを通して、 「人間らしく生きる」ためのヒントを探しています。

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