
朝は、いつも慌ただしい。
子どもを起こして、朝ごはんを作って、洗濯機を回して、メールを確認して。
気づけばもう出勤時間。
気持ちが整う前に一日が始まり、
気づいたら夜になっている。
そんな毎日を、少し前まで送っていた。
「ただの仕事モブ」みたいだった日々
在宅勤務は便利だけど、
仕事と生活の境界がどんどん曖昧になっていく。
朝起きてすぐ、パソコンを開いて
昨日のタスクを振り返り、
今日のスケジュールを整える。
「朝活」と呼んでいたけれど、
それは自分のためというより、
“仕事のため”の時間だった。
ふと鏡を見ると、
そこに映っていたのは
疲れた顔をした自分。
気づけば、
“ただ働くための人”になっていた。
心が追いつかないまま、
日々のタスクだけが積み重なっていた。
イライラが減った「5分間」の習慣
そんなある日、思い切ってルーティンを変えた。
朝、パソコンを開く前に、手帳を開く。
たった5分。
何か特別なことをするわけじゃない。
今日の天気を書いたり、
その日の気分を一行だけ残したり。
その隣に、心が惹かれたマスキングテープを貼る。
それだけ。
でも、その5分間が、
驚くほど心を整えてくれた。
「整える」という、小さな手当て
それまでの私は、
心の中を片づけずに、
仕事や予定を詰め込み続けていたのかもしれない。
イライラや不安、焦り。
それらは、片づけられないまま放置された
“心のゴミ”みたいなものだった。
手帳に向かう5分間は、
その小さなゴミをひとつずつ拾い上げる時間。
誰に見せるでもないページに、
「疲れた」と書く。
「今日は何もしたくない」と書く。
それだけで、
心が少しずつ軽くなっていく。
養生は、特別なことじゃない
東洋医学の「養生」は、
心と体を日々の暮らしの中で整えていく考え方。
私にとっての養生は、
朝の5分間にある。
白湯を飲む。
窓を開けて、光を浴びる。
好きな香りをそっと漂わせる。
そんな小さな行為が、
自律神経のバランスを静かに整えてくれる。
40代の私たちは、
もう「気合い」で乗り越えられない。
だからこそ、
自分を労わる時間が必要なんだと思う。
自分を見つめる時間、それが手帳
ほぼ日手帳の今日のページには、
雲のマスキングテープを貼った。
ゆっくり流れる雲のように、
私の心も、自由で穏やかでありたいと思って。
貼るたびに、
心の中の小さな波が静まっていくのを感じる。
手帳デコは、飾るためじゃなく、
自分を整えるための儀式。
書くことで、
気持ちを「見える形」にする。
貼ることで、
心を少し彩る。
それだけで、
今日という一日がやわらかく始まる。
朝の静けさは、心の再起動
5分間の手帳時間を持つようになってから、
イライラすることが減った。
焦りそうな日でも、
手帳を開くと呼吸が戻ってくる。
「今日も大丈夫」
そんな小さな声が、心の奥から聞こえる。
朝の静けさは、
一日の流れを変える力を持っている。
完璧にできなくてもいい。
ただ、自分の心に戻る時間を持てばいい。
おわりに
手帳は、時間を管理する道具じゃない。
心を調えるための、
小さな処方箋。
もし今、
日々の忙しさに飲み込まれそうになっているなら、
朝の5分だけ、手帳を開いてみてほしい。
何も書けなくても、ページを開くだけでいい。
その静かな時間が、
あなたの中のざわめきを
そっと解かしてくれるから。
今日も、小さな養生を。
Wrote this article この記事を書いた人
ミカ
手帳と暮らすミカです。 薬剤師・和漢薬膳師として、心と体の「めぐり」を見つめながら暮らしています。 40代を迎え、心や体の声に耳を澄ます日々。 手帳を開く時間は、私にとって小さな養生であり、静かな儀式です。 ここでは、ほぼ日手帳に綴る日々の出来事や心の揺れを通して、 「人間らしく生きる」ためのヒントを探しています。