やりたいのにできない日も、いい。——40代の“気力の波”との付き合い方

やりたいのにできない日も、いい。——40代の“気力の波”との付き合い方

「やる気が出ない日」は、誰にでもある

朝、やりたいことが頭の中でいくつも並んでいるのに、
体も心も動かない。そんな日がある。

「掃除をして、洗濯して、午後は少し仕事を進めよう」
そう思っていたのに、なぜか手が止まる。
カーテン越しの光を見ているうちに、時間だけが過ぎていく。

40代になると、以前とは体の動き方が変わってくる。
気力が満ちている日もあれば、
どこまでも底に沈んでいくような日もある。
昨日まで出来ていたことが、今日はできない。
それだけで、少し自分を責めたくなる。

けれど、そんな日があるのは自然なことだ。
年齢を重ねれば、心も体もペースを変えながら
新しいバランスを探しているのだと思う。
できない日があっても、それが「衰え」ではなく
「調整の途中」だと考えるようにしている。

「やる気が出ない日」は、次の波を迎えるための準備期間。
焦らず、責めず、
静かに過ごすことも大切な時間のひとつだ。

ダイソーで見つけた“小さなうれしさ”

先日、仕事が終わったあとににふらりとダイソーに行った。
特に目的があったわけではないけれど、
店内を歩くだけで、少し気持ちがほぐれていく。

文具コーナーで見つけたのは、マスキングテープカッター。。
今まではハサミでカットして使っていたけれど、
このテープカッターならそのまま切れる。

「これ、探してたんだよな」と思わず声が出た。
数百円の小さな買い物なのに、
気持ちの中にふわっと灯りがともるようだった。

家事も仕事も、やるべきことは山ほどある。
だけど、こんなささやかな買い物が、
暮らしの中に新しい風を吹き込んでくれる。

無理に前向きになろうとしなくてもいい。
小さな“好き”を見つけて、
そこにほんの少しのときめきを感じる。
それだけで、気力は少しずつ回復していくのだと思う。

手帳時間で、気持ちを整える

家に帰ると、いつものように手帳を開く。
その日の出来事や感じたことを、
思いつくままに書き留めていく。

「今日はダイソーでいいマステカッターを見つけた」
「体がだるいけど、気分は少し上向き」
そんな短いメモでも、
心の中のノイズが少しずつ整っていく。

書くことは、心の棚を片づけるようなものだ。
頭の中でぐるぐるしていた考えが、
文字として並んだ瞬間に、距離が生まれる。
「ああ、今の私は、少し疲れてるんだな」
そうやって気づけるだけで、
自分への優しさが戻ってくる。

お気に入りのマステを貼ると、
ページに小さな彩りが生まれる。
たったそれだけのことなのに、
“暮らしを楽しむ余力”が戻ってくる気がする。

手帳を開く時間は、私にとっての休息であり、
心を立て直す小さな習慣でもある。

自分のペースで暮らす勇気

「もっと頑張れたのに」と思うことは、今でもある。
けれど、そんな日は“無理をやめる練習”の日だと考えるようになった。

40代になると、
「前みたいに動けない自分」を認めることが怖くなる。
でも、今の自分に合ったリズムを受け入れた瞬間、
少しだけ肩の力が抜ける。

予定を詰め込まず、
今日は早めに布団に入る。
朝の家事を後回しにして、
お気に入りのラテを買いに行く。

そんな些細な選択が、
思っている以上に心を軽くする。
ペースを落とすことは、
あきらめではなく、自分を守る知恵だ。

「無理をしないこと」は、
努力をやめることではなく、
自分の心と体を尊重すること。
そう思えたら、暮らしは少しずつやさしく整っていく。

やりたいのにできない日も、いい

やりたいのにできない日がある。
でも、それは何かを失っているわけじゃない。
心が少し休みたがっているだけ。

暮らしには波がある。
やる気に満ちた日もあれば、
静かに過ごしたい日もある。
どちらも「ちゃんと生きている日」だ。

昔のように全部をこなせなくても、
自分の中で優先順位が変わっただけ。
休むことも、立派な“やること”のひとつだと思う。

40代の暮らしは、
思っていたよりずっと繊細で、
でもそのぶん、豊かでもある。

小さなマステひとつで気分が上がり、
甘いラテ一杯で救われることもある。
そんな日常のひとつひとつを、
大切にすくい上げながら生きていきたい。

今日も小さな養生を。

Wrote this article この記事を書いた人

ミカ

手帳と暮らすミカです。 薬剤師・和漢薬膳師として、心と体の「めぐり」を見つめながら暮らしています。 40代を迎え、心や体の声に耳を澄ます日々。 手帳を開く時間は、私にとって小さな養生であり、静かな儀式です。 ここでは、ほぼ日手帳に綴る日々の出来事や心の揺れを通して、 「人間らしく生きる」ためのヒントを探しています。

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