
あっという間に12月。テレビの前に座った夜
あっという間に12月になった。
街はすっかりクリスマスムードで、
夕方になると外の空気まで少し急ぎ足になる。
この日の夜は、ちゃんと予定があった。
息子と一緒に、バスケットボールの試合を観る。
それだけのことなのに、
なぜか朝から少し楽しみにしていた。
いつもなら、テレビで生中継があるかどうかを
何となく確認して終わりになる。
けれどこの日は、地上波の放送がなかった。
「今日は観られないのかな」と思って、
スマホで試合名を調べてみた。
そこで初めて知った。
TVerで配信される、ということを。
TVerの存在は知っていたけれど、
使ったことはほとんどなかった。
オンデマンドといえば、ずっとU-NEXT派。
だから正直、少し半信半疑だった。
でも、配信時間を見ると、まだ間に合う。
そこからの動きは早かった。
急いでお風呂に入り、
夕飯のあと片付けも済ませて、
試合開始に間に合うように準備万端。
テレビの前に座って、
リモコンとスマホを手元に置く。
息子も隣に座って、
画面が切り替わるのを待つ。
「ちゃんと映るかな」
そんな不安は、再生ボタンを押した瞬間に消えた。
思っていたよりもずっと簡単で、
拍子抜けするほどスムーズだった。
ライブで観戦できるのは、やっぱりいい。
点が入るたびに、
部屋の空気が少しだけ動く。
ミスした場面では、
二人で同時にため息をついた。
テレビの前で、ただ試合を観ていただけ。
それなのに、
この夜は不思議と満たされていた。
便利になった時代は、
こういう小さな「間に合った」を
そっと増やしてくれるのかもしれない。
ずっとU-NEXT派だった私が、TVerを使うことになった理由
これまで、オンデマンドといえばU-NEXT一択だった。
映画もドラマも、探せばだいたいそこにある。
「観たい」と思ったときに、すぐ辿り着ける安心感。
それが当たり前になっていて、
ほかの選択肢を探そうともしていなかった。
忙しい日常の中で、
いちいち比較したり、使い分けたりする余裕はない。
だからこそ、
“全部そろっている場所”に頼るのは自然な流れだったと思う。
けれど今回、
息子と一緒に観たい試合が、そこにはなかった。
地上波でも放送されない。
「じゃあ、仕方ないか」と諦める前に、
スマホで調べてみた。
そこで出てきたのが、TVerだった。
正直に言えば、
TVerは「若い人向け」のイメージがあった。
見逃し配信、無料、CMあり。
どこか落ち着かない印象で、
自分の生活には合わないと思っていた。
でも、その思い込みは、
いとも簡単に裏切られた。
アプリを開いて、
番組を選んで、再生する。
それだけで、ちゃんと試合が始まった。
「全部そろっていなくてもいい」
そんな考えが、
このとき初めて浮かんだ。
観たいものが、
観たいタイミングで、
ちゃんとそこにある。
それだけで、十分なのかもしれない。
U-NEXTを手放すわけではない。
でも、TVerという選択肢が増えたことで、
テレビとの付き合い方が、
少しだけ軽くなった気がしている。
TVerを初めて使って感じた「便利」と「少しの物足りなさ」
TVerを実際に使ってみて、
まず感じたのは「思っていたより、ずっと便利」ということだった。
アプリを入れて、番組名を検索して、再生する。
操作は直感的で、迷うことがほとんどない。
スマホでもテレビでも視聴できて、
途中からでも追いかけ再生ができる。
生中継がない試合でも、
「今からでも間に合う」という選択肢があるのは大きかった。
特に、忙しい家庭には相性がいい。
決まった放送時間に合わせて動けなくても、
少し遅れて、落ち着いたタイミングで観られる。
お風呂や家事を優先してからでも、
試合や番組を諦めなくていい。
一方で、物足りなさも確かにある。
配信期間が限られていること。
すべての試合や番組が揃っているわけではないこと。
CMが入ることも、
有料サービスに慣れていると気になる人はいると思う。
それでも、
「無料で、今観たいものが観られる」という強みは大きい。
とくにスポーツやバラエティ、
地上波番組の見逃し視聴には向いていると感じた。
TVerは、
“じっくり腰を据えて観る場所”というより、
“今の生活に合わせて観る場所”。
完璧ではないけれど、
ちょうどいい。
そんな立ち位置のサービスだと思う。
オンデマンドは「全部そろっていなくていい」と気づいた
TVerを使ってみて、
いちばん意外だったのは、
「全部そろっていなくても困らない」という感覚だった。
これまでの私は、
オンデマンド=網羅性、だと思っていた。
映画もドラマも、過去作も新作も、
できるだけ多くの選択肢があること。
それが“便利”の条件だと思っていた。
だからこそ、
U-NEXTのようなサービスに安心感を覚えていたし、
足りないと感じたこともなかった。
けれど、今回TVerを使ってみて、
少し考えが変わった。
観たかったのは、
「今、このタイミングで観たい試合」だった。
過去の名場面でも、
アーカイブをさかのぼることでもない。
ただ、その夜、息子と一緒に観られればそれでよかった。
そう考えると、
選択肢が多すぎないことは、
むしろ気楽だった。
迷わない。
探しすぎない。
「今日はこれを観る」と決めて、
すっと再生するだけ。
40代になって、
時間の使い方が少しずつ変わってきた。
“たくさん観る”よりも、
“ちゃんと観る”時間のほうが大切になっている。
オンデマンドは、
すべてを抱え込む場所じゃなくていい。
その日の気分や予定に合わせて、
必要な分だけ差し出してくれればいい。
TVerは、
そんな距離感を思い出させてくれた。
便利になった時代に、私が選びたいテレビとの距離感
便利になった、と思う。
探せばすぐ見つかって、
押せばすぐ始まる。
観たいものに辿り着くまでの道のりは、
驚くほど短くなった。
でも同時に、
便利すぎると、少し疲れることもある。
選択肢が多すぎて迷ったり、
「せっかくだから」と観なくてもいいものまで
流し続けてしまったり。
だから最近は、
テレビとの距離感も、
少しだけ意識するようになった。
この日は、
息子と一緒にバスケットボールを観る、
という目的がはっきりしていた。
時間を合わせて、
一緒に画面を見る。
それだけで、十分だった。
TVerは、
そんな使い方にちょうどよかった。
必要なときに、必要な分だけ。
生活の中に、静かに入り込んでくる感じ。
すべてを追いかけなくていい。
すべてを把握しなくていい。
便利なものほど、
自分のペースで選べばいい。
テレビも、オンデマンドも、
暮らしを埋め尽くすためじゃなく、
ほんの少し、
気持ちをゆるめるためにある。
そんなふうに思えた夜だった。
今日も小さな養生を。

Wrote this article この記事を書いた人
ミカ
手帳と暮らすミカです。 薬剤師・和漢薬膳師として、心と体の「めぐり」を見つめながら暮らしています。 40代を迎え、心や体の声に耳を澄ます日々。 手帳を開く時間は、私にとって小さな養生であり、静かな儀式です。 ここでは、ほぼ日手帳に綴る日々の出来事や心の揺れを通して、 「人間らしく生きる」ためのヒントを探しています。