11.理由もなく涙が出るのは更年期?──40代女性の不安と“血虚”がつくる心の揺れ

11.理由もなく涙が出るのは更年期?──40代女性の不安と“血虚”がつくる心の揺れ
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理由もなく涙が出るのはなぜ?40代女性に押し寄せる“不安の波”

理由もなく涙がにじむ瞬間がある。
悲しいことがあったわけでもないのに、胸の奥がふっと濡れていく。
40代に入ってから、その“説明できない涙”がゆっくりと近づいてくる日が増えた。

朝、洗面所の鏡の前でふいに胸がきゅっと細くなる。
夕方、台所に立ちながら、ほんの一瞬だけ心がどこにも居場所を見つけられなくなる。
夜、家が静かになるにつれて、ちいさな不安が大きく膨らむことがある。

「私、弱くなったのかな」
そんな呟きが、胸の奥に落ちていく。

でも、手帳を開いたとき、
私はページの片隅にこんな言葉を書き残していた。

「血が足りなくて、心に栄養が届いていない気がする。」
「この寂しさは、血の不足とつながっているのかもしれない。」

東洋医学では、こうした情緒の揺れを
“心が弱っているから”とは見ない。
40代は、体の内側で“血”と“潤い”が少しずつ減っていく時期。
血は肌や髪だけでなく、心の中心にある“静かな軸”にも栄養を届けている。

その血が少なくなると、
心に届く栄養がほんの少し遅れ、
胸の奥で支えてくれていた土台が薄くなる。
その薄さが、不安や寂しさの形となってにじみ出てくる。

ふいに涙があふれるのは、
心が壊れかけている合図じゃない。
ただ、体の内側で
「ここが乾いてるよ」
と静かに知らせてくれているだけ。

心は体の一部。
血が満ちれば、心もまたゆっくり立ち上がる。
栄養が届けば、落ち着きも少しずつ戻ってくる。

涙は終わりではなく、
そこにある乾きを知らせる、小さなサイン。

そのことに気づくだけで、
涙の意味はすこしだけ優しく変わっていく。

更年期の揺らぎと“血虚”の関係——身体が静かに乾いていくと、心も揺れやすくなる

40代の体は、ゆっくりと変わっていく。
ある日突然ではなく、気づけば胸の奥の“張りつめていた糸”が緩んでいたり、
逆に妙な不安がふっと吹き上がったりする。

世間ではそれを「更年期だから」で片づけられてしまうことが多いけれど、
東洋医学の視点で覗いてみると、その揺らぎの裏にはもっと静かな理由が潜んでいる。

血は、肌や髪だけでなく、
心の中心にいる“神(しん)”にも栄養を届ける存在。
血が少なくなると、心は寄りかかる場所を失う。
そのわずかな“空白”のせいで、不安が強く見える日がある。

「理由の説明がつかない寂しさ」
「ひとり取り残されたような感覚」
「夜になると大きくなる不安」
「涙が勝手に溢れてくるような揺れ」

これらは、性格でも、甘えでもない。

ページの片隅に書き残した “血の不足は心の寂しさにつながる” の言葉のとおり、
血の乾きは、心の乾きにもつながっていく。

更年期は、ホルモンの問題だけではなく、
“血虚” の揺らぎが心に影を落とす時期でもある。

血虚が強くなると、こんな変化が重なる。

・爪が割れやすい
・肌が粉をふく
・分け目が透けて見える
・目が乾き、かすむ
・寝入りが浅くなる
・夢が増える

どれも、心に届くはずの栄養が少しずつ減っているサイン。

更年期と血虚の揺らぎは、別のものではなくて、
同じ川の上流と下流のように、静かにつながっている。

だからこそ、体が乾けば心も揺れる。
血が満ちれば、心も少し落ち着く。

“心の不調”に見える揺らぎの多くは、
あなたの体が静かに発している乾きのサイン。

その視点をひとつ持つだけで、
不安の輪郭がやわらかくなる。
責める対象が「自分」から「疲れた体」へと変わっていく。

そしてその変化は、
心にとって大きな救いになる。

「血虚」が見せる身体サイン──不安の正体を“体の表面”から読み解く

「なんとなく不安」「理由のない寂しさ」「情緒が揺れる」
そんな心の動きの裏側に、
血の不足という静かな原因が潜んでいることがある。

でも、自分が血虚に傾いているかどうかなんて、
感情だけでは判断がつきにくい。
だからこそ、体の“表面”に現れるサインを
ひとつずつ拾っていきたい。

これは、手帳に記録しやすく、
体と心のつながりを理解するための大事な目安になる。

▶ 顔色・肌の変化は、血の不足が最初に現れる場所

鏡をのぞいた瞬間、
「あれ、顔色が薄い?」
そんな違和感が続く日は、
体の内側で血が静かに減りはじめているサイン。

・顔色が青白い
・頬が乾きやすい
・唇に色がない
・ファンデーションが浮く

血は、肌のうるおいを保つ“内側の水脈”のようなもの。
その水脈が痩せてくると、まず表面の乾きがあらわれる。

それは老化ではなく、
血という栄養が少し足りなくなっている合図。

▶ 爪と髪は、血の状態を映す鏡

朝の支度の途中で、
指先の爪に縦すじが走っているのを見つけた日。
髪をとかすたび、ブラシに抜け毛が増えていくのを感じる日。

そのどれもが、静かな血虚のサイン。

・爪が薄く割れやすい
・縦のラインが増える
・抜け毛が多い
・髪が細く、パサつく
・分け目が透けやすい

血は髪や爪の材料になるもの。
血が減ると、まず“端っこ”から影響が出る。

手帳に
「今日は抜け毛が多かった」
「爪が割れた」
と一行残すだけでも、体の乾き具合が見えてくる。

▶ 目の乾き・かすみ・疲れやすさ

夕方になるほど目が疲れる。
スマホを少し見ただけで、かすみが強くなる。
涙が出づらく、乾きが気になる。

これも血虚の代表的なサイン。

血は目の潤いにも深く関わっていて、
不足すると“視界”に揺らぎが出る。

・ドライアイ
・夕方のぼやけ
・焦点が合いにくい

目の乾きが強い日は、
同時に“不安が増えやすい”のも特徴。

心の揺れの裏に、
ただ目が乾いていただけということもある。

▶ 夜の乱れは、血虚が深まっている合図

血は、心を落ち着かせるための土台でもある。
だから血虚が進むと、夜の時間に揺らぎが現れやすい。

・夢が多い
・眠りが浅い
・寝つきが悪い
・夜になるほど胸のざわつきが強まる

夜の不安は、心が弱いからではない。
心に届ける栄養が少し足りなくなっているだけ。

▶ 血虚かどうか迷ったときの“目安”として

✔ 顔色が薄い、青白い
✔ 肌が乾きやすい
✔ 爪に縦すじ、割れやすさ
✔ 抜け毛が増える、髪が細い
✔ 目が乾く・かすむ
✔ 眠りが浅い・夢が多い
✔ 理由のない不安や寂しさが続く

このうち 3つ以上あてはまるなら、血の不足が静かに進んでいるサイン。

感情の揺れを“自分の弱さ”と結びつけず、
体の中の乾きとして読み取るだけで、
心の負担はすっと軽くなる。

日記に書くと“不安の根”が見えてくる──3つの視点で心と体を並べる

動悸の日。
ふわっと浮くようなめまいがあった日。
理由のない寂しさが胸の奥に沈んだ日。

そんな揺れを、ただ「しんどかった」で終わらせないために、
日記の中で “心と体のつながり” をそっと並べていく。

書くのはたった3つ。
でも、この3つを揃えるだけで
不安の根っこが驚くほど静かに浮かび上がる。

① 心の揺れを“状況と一緒に”書く

不安や涙の理由はひとつじゃない。
ただ、どんな場面で揺れたのかを書くだけで、
あなたの心が弱いんじゃなくて
“血が足りない日の揺れ方” が見えてくる。

・朝、理由もなく胸が締めつけられた
・夕方、急に心細くなった
・夜、眠る前に涙がにじんだ
・家族の声が遠く感じた

感情を責めるんじゃなくて、
“どんな瞬間に揺れたか” を静かに置いておく。

その場面こそ、血が足りず心の軸が少し薄くなっていた証。

② 血虚を示す“体のサイン”を一行だけ添える

心の揺れと、体の乾きはいつもつながっている。
だから、身体のサインを1つ書き添えるだけで
不安が“体の声”に変わり、
感情に振り回される力がすっと弱まる。

・抜け毛が増えていた
・爪に縦すじが出ていた
・唇が乾いて白くなる
・目が乾きやすかった
・顔色が薄い日だった
・夢が多く、眠りが浅かった

その一行が、
“今日の不安は血の不足から来ていたのかもしれない”
という静かな気づきに変わる。

③ 今日“補えたもの”を書く──たった一行で心が立ち上がる

血を補う行動は、
体だけでなく心の落ち着きを取り戻すスイッチ。

大きなことである必要はない。

・ほうれん草を食べた
・温かい白湯をゆっくり飲んだ
・プルーンを2つ
・照明を落として静かに座った
・深呼吸をひとつだけした

書くと、「ちゃんと補えた自分」が見える。
その感覚が、次の不安に飲まれない力になる。

“できなかったこと”ではなく
“できたこと”を拾うだけで、
心の軸が少しだけ強くなる。

▶ 3つを並べると、不安の正体が言葉になる

・心の揺れ
・体の乾き
・今日の補い

この3つが並ぶと、
目の前の不安が“あなたの弱さ”ではなく、
“体の状態”として見えてくる。

それは、不安に名前がつく瞬間。
名前がつくと、揺れは怖さを失っていく。

そして、あなたはまた立ち戻れる。

自分の中心へ。
今日の小さな軸のほうへ。

血を養う“小さな習慣”──心の安定は、日々のささやかな補いから始まる

血を補うことは、
大きな覚悟や劇的な変化ではなくて、
もっと静かで、もっと生活のそばにある。

40代になると、
体は少しずつ乾きやすくなる。
心が揺れやすいのも、
体の内側で血と潤いがゆっくり痩せていくから。

だからこそ、
無理のない“小さな補い”が
いちばん体に届きやすい。

▶ 温かいものを、ゆっくり飲む

夜、胸の奥がざわつく日ほど、
温かい白湯やお茶が体の中心にすっと落ちていく。

・朝の白湯
・夜のハーブティー
・湯気の立つ味噌汁

熱すぎない、静かな温度。
その温かさが、乾いた血をふわりと満たしていく。

焦りも、不安も、
温度があるほうへ少しずつ溶けていく。

▶ “緑のもの”を一皿だけ置く

ほうれん草、春菊、小松菜。
どれも特別な食材じゃないのに、
血を支える力がしっかりある。

忙しい日でも、
緑の一皿が食卓にあるだけで
体の栄養の方向が変わっていく。

・ほうれん草のお浸し
・小松菜の味噌汁
・黒ごまをぱらりと添える

どれも大げさではない。
でも確実に“今日の血”になってくれる。

▶ 黒いものをゆっくり噛む

黒豆、黒ごま、ひじき。
「黒い食材=血を補う」と昔から言われるのは、
体の深い部分に効くから。

スーパーフードじゃなくていい。
ただの黒ごまでも、
今日の体には十分な栄養。

▶ 甘いものを“心のために”ではなく“血のために”選ぶ

不安な日は、つい甘いものに手が伸びる。
でも、砂糖だけでは心の揺れは落ち着かない。

そんな日は、

・なつめ
・プルーン
・レーズン

血の材料になる自然な甘みのほうを。
ただの気休めではなく、
心に届く甘さになる。

▶ 夜の照明をひとつ落とす

血虚の日は、光が強いだけで心が疲れる。
夜の照明を一段落とすと、
体の緊張がふっとほどける。

光を弱くするだけで、
呼吸がゆっくり戻ってくる。

それも立派な“養生”。

▶ 深呼吸をひとつだけ

大きく息を吸う必要はない。
ただ一回、
胸の奥に空気が通ったと感じる呼吸をするだけでいい。

血が少ない日は、
体の奥まで空気が届きにくい。
だから、ひとつ深い呼吸が
体の内側を広げてくれる。

その一回で十分。

▶ 小さな補いを積むと、心の揺れ方が変わる

血が満ちれば、
心は自然に静かになる。

不安の量が減るというより、
“不安の揺れ方”が変わる。

心が薄くなる瞬間が減る。
涙の理由が見えるようになる。
夜のざわつきが少し遠くなる。

補う習慣は、
気休めではなく、
体から心を支えるための
とても静かな力。

今日の不安は、今日の体の乾き。
補えば、また変わる。

今日の日記に書いておきたい一言──揺れた心をそっと抱きとめるために

血が足りなかった日。
胸の奥がふっと薄くなった日。
心のどこにも居場所が見つからなかった日。

そんな日は、手帳を開くのさえ少し重く感じる。
けれどページの端に一行だけ書いておくと、
その言葉が夜の心を支える小さな灯りになる。

今日、揺れた自分を責める必要はどこにもない。
不安が大きく見えたのも、涙がにじんだのも、
ただ体の中で“血”が少し足りなくなっていただけ。

心が弱かったんじゃなくて、
心に届く栄養が追いつかなかっただけ。

だから今日の終わりに、
静かな光のような一行をそっと置いておく。

「今日は、心に届く血が少し薄かった。」
「補えば戻る。」
「揺れたのは、私のせいじゃない。」

たった一行でいい。
その言葉は、“自分を責める力”をふっと弱くし、
“明日を迎える力”だけをそっと残していく。

明日、また少し満たされるかもしれない。
明日、また少し落ち着くかもしれない。
その余白を残しておくことが、
養生のはじまり。

今日の揺れは、今日のだけ。
明日は、また違う体と心がやってくる。

だからいまは、
ページに静かに寄り添ってくれるその一行を
そっと置いておけばいい。

今日も小さな養生を。



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Wrote this article この記事を書いた人

ミカ

手帳と暮らすミカです。 薬剤師・和漢薬膳師として、心と体の「めぐり」を見つめながら暮らしています。 40代を迎え、心や体の声に耳を澄ます日々。 手帳を開く時間は、私にとって小さな養生であり、静かな儀式です。 ここでは、ほぼ日手帳に綴る日々の出来事や心の揺れを通して、 「人間らしく生きる」ためのヒントを探しています。

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