
動悸、本当に“心臓の病気”?まずは“血”の不足を疑う
夜。部屋が静かになるほど、胸の鼓動だけが大きく聞こえる。
昼間には気にならなかった音が、暗い寝室の中で急に存在感を増してくる。
「心臓の病気?」「このまま倒れたりしない?」
そんな不安が胸の奥でじわりと膨らんでいく。
朝、立ち上がった瞬間に視界がふっと白くなることもある。
一瞬だけ、足元が頼りなくなる。
それだけで、脳や心臓の異変を疑って検索窓に指が伸びてしまう。
40代になると、
こうした“体の揺らぎ”が突然訪れる。
しかも、その揺らぎに自分がついていけなくなる瞬間が増える。
不安が不安を呼び、「これって大きな病気?」と考えてしまうのは自然なこと。
でも、東洋医学では、これらの動悸やめまいの原因を
「心臓そのものの異常」だけでは説明しない。
むしろ、こんな小さな変化を丁寧に拾う。
・肌が乾燥して粉をふく
・髪の抜け毛が前より増える
・爪が割れやすくなる
・目がしょぼしょぼ乾きやすい
・夜になると体がほてる
・眠りが浅い
こうした “乾き” のサインが積み重なると、
体の中では “血” と “潤い(陰)” が少しずつ不足していく。
東洋医学でいう 血虚(けっきょ) は、
体の栄養そのもの=血の量が足りない状態。
心に行き届く栄養も少なくなるため、
不安感が強くなり、小さな動悸でも大きく揺れやすくなる。
陰虚(いんきょ) は、
体を冷やし、うるおし、落ち着かせる“潤い”が減る状態。
潤いが足りないと、体に相対的な熱がこもってしまい、
寝る前のドキドキ、ふわっとしためまい、寝汗などが出やすくなる。
つまり――
動悸やめまいは、体からの「助けて」のサインでもある。
心臓が悪いわけではなく、
体の中の“うるおい”が減っているだけかもしれない。
血と潤いが少なくなると、心も不安に傾きやすくなる。
だから、些細なドキドキも大きく感じられてしまうのだ。
検索ユーザーが知りたいのは、
「動悸=病気なのか」「更年期なのか」その判断基準。
その答えを、東洋医学はこう教えてくれる。
✔ 動悸+乾燥(肌・髪・目)
✔ めまい+ほてり
✔ 夜の不安感
✔ 体の軽いふらつき
✔ 寝汗・動悸・寝つきの悪さ
これらがセットで出ているなら、
心臓病よりも 血虚・陰虚による体の乾き を疑ってみていい。
病院に行くべき症状(胸の痛み、強い息切れ、動悸が長時間続く、激しいめまい)はもちろん別だけれど、
「検査しても異常がないのに不安が強い」
という40代女性に圧倒的に多いのが、この血虚・陰虚のパターン。
だから、まずは手帳にこう書いてみる。
・今日の動悸の強さ
・めまいが起きた時間帯
・乾燥サイン(肌・髪・目)
・不安の強さ(10段階)
これだけで、不安との距離がやわらかくなる。
病気を疑う前に “血と潤いの状態” を見る視点が生まれるから。
不安は、あなたが弱いから生まれるのではない。
体のうるおいが少しだけ足りなくなっているだけ。
東洋医学でいう「血虚」と「陰虚」──体内の潤いが足りないということ
お風呂で髪を洗っていると、掌にからまる抜け毛の量にふっと息が止まる。
排水口にたまる影を見るたび、胸の奥がざわりと揺れる。
朝、鏡の前で分け目を整えると、以前より白い地肌が目立つように感じる。
肌も同じで、いつものファンデーションが急に浮いた日には、
その“乾き”が心にまで染みてくる。
40代になると、体の内側の変化は表面に静かに現れる。
東洋医学では、こうした“乾きのサイン”を
ただの老化ではなく、
「血」と「潤い(陰)」の不足──血虚・陰虚 と捉える。
■ 体の栄養が足りなくなる「血虚」
“血”は体のすみずみに栄養を届ける大切な要素。
これが少なくなると、
・抜け毛が増える
・髪が細くなる
・肌が乾く
・顔色が青白くなる
といった変化が起きる。
血虚になると、心にも栄養が届きにくくなり、
小さな不安が大きく感じられやすくなる。
夜のドキドキが必要以上に怖く感じるのも、
心の“土台”が少し揺らいでいるから。
■ 体の潤いが失われる「陰虚」
“陰”は、体を冷まし、落ち着かせ、うるおす力。
これが不足すると、
・眠りが浅い
・ほてりやすい
・喉や目が乾く
・寝汗
などが起こりやすくなる。
陰が足りないと体に相対的な熱がこもり、
夜の動悸や、ふわっとしためまいにつながりやすい。
■ 体のサインを読み解く小さなヒント
動悸やめまいが起きた日は、
こんな組み合わせがないかを思い返してみてほしい。
✔ 動悸と一緒に乾燥(肌・髪・目)が強い
✔ めまいと同時にほてりがある
✔ 夜になると胸のドキドキが強まる
✔ 抜け毛や分け目が気になる
✔ 眠りが浅い
これらがそろうとき、
体では “血”や“潤い”が少しずつ減っている可能性が高い。
もちろん、
・胸の痛み
・強い息切れ
・激しいめまい
・長く続く動悸
は病院での確認が必要だけれど、
「検査は異常なし。でも不調だけが残る」
そんな揺らぎを抱える40代女性に、
血虚や陰虚がとても多い。
■ 乾きは、心にも静かに影響する
分け目が薄く見えた日、肌が粉をふいた日。
そんな小さな変化が、不思議なくらい心にも影を落とす。
だけどそれは「弱いから」ではない。
ただ、血と潤いが足りず、
体も心もほんの少し乾いていただけ。
それに気づけるだけで、不安はすこし輪郭を変えていく。
手帳には、こんな短い記録でいい。
・髪が抜けやすかった
・肌が乾いた
・目がしょぼしょぼした
・分け目が気になった
体の揺らぎの“根っこ”が、静かに浮かび上がってくる。
動悸・めまいを日記に残す3つの視点
動悸やめまいが起こるとき、私たちはつい「怖かった」「しんどかった」の一言で終わらせてしまう。
でも、その一行だけでは、体のどこが揺らぎはじめていたのかが見えにくい。
東洋医学では、こうした症状を“単体”で見るのではなく、
いつ・どこで・どんな乾きとセットで起きたか
という“背景”を読むことがとても大切になる。
その背景を読み解くために、手帳には
①いつ・どんなふうに起こったか(主観の記録)
②体の乾き具合(血・陰のサイン)
③その日の養生(補えたもの)
の3つを残しておくと、体の揺らぎが地図のように見えてくる。
① 不安が生まれた“瞬間”をそのまま書く
動悸やめまいには、それが起きた“場面”がある。
・立ち上がった瞬間にふわっとした
・夜、布団に入った直後に胸がドキッとした
・朝の支度中に視界が揺れた
・コーヒーを飲んだあとに動悸が増えた
こうした具体的なシーンは、体が「どこで揺らぎやすいか」を教えてくれる。
めまいの“質”も大切だ。
・ぐるぐる回る → 内耳など別の要因が関わることも
・ふわっと浮く → 血虚・陰虚で起こりやすい
・目の前が暗くなる → 血の巡りが瞬間的に落ちたサイン
そして、そのとき感じた“怖さ”も書いておくといい。
「倒れる気がした」「息が苦しい気がした」──
この“不安の強さ”も、体の状態を知る大切な手がかりになる。
② 「血」や「潤い」の不足を示す乾きのサインをセットで残す
動悸やめまいだけでは、原因は見えにくい。
そこで、症状と同じ日の “乾き具合” を一緒に書く。
・髪の抜け毛が増えた
・分け目がいつもより気になる
・肌が粉をふいた
・唇が乾く
・目がしょぼしょぼする
・夜中に何度も目が覚める
・手足のほてり
これらはすべて 血虚(血の不足)・陰虚(潤いの不足) の典型的なサイン。
特に抜け毛や頭皮の透け感は、血虚の分かりやすい合図。
症状と乾きの記録を並べるだけで、
「今日は体の中で栄養が足りていなかったんだ」
「潤いが少なくて、不安が増幅しやすい状態だった」
と、体の揺らぎが立体的に見えてくる。
③ “不安に飲まれなかった行動”を書く
手帳は、症状を並べて自分を責めるためのものではない。
むしろ、
“今日、自分に何を補えたか” を書く場所。
・ほうれん草を食べた
・ひじきを少し足した
・プルーンを2つ食べた
・なつめ茶を飲んだ
・深呼吸を5回した
・照明を落として早めに横になった
血を補う食べ物や、気を落ち着かせる習慣は
「小さな回復スイッチ」になる。
完璧に整えなくていい。
“ほんの少しでも補えた”という事実を残すことが、
翌日の自分をやわらかく支えてくれる。
動悸やめまいは、心の弱さではなく、
体の乾きが起こす静かなサイン。
3つの視点で手帳に残していくと、
自分の中の揺らぎが、怖いものではなく
“読み解けるもの”へと変わっていく。
血を補うという養生──今日からできること
動悸がした日、めまいがふと訪れた日。
「また不安になってしまった」と落ち込む前に、
まず思い返したいのは “今日、何を食べて過ごしたか” ということ。
朝はコーヒーだけ。
昼はおにぎり一つで済ませて、
夜は疲れすぎて簡単なものをつまんだだけ──。
そんな日は、体の中の“血をつくる材料”がほとんど足りていない。
東洋医学では、血はただの“液体”ではない。
肌のうるおいにもなり、
髪の強さにもなり、
心を落ち着かせる土台にもなるもの。
だからこそ、不足すれば心も体も揺れやすくなる。
■ 「血を補う」とは、体に栄養と安心を戻すこと
血虚(血の不足)や陰虚(潤いの不足)の日は、
心がざわつきやすく、体も乾きやすい。
そんな日に必要なのは、
“無理をして頑張ること”ではなく、
静かに“補う方向”へ一歩だけ動くこと。
私が最初に取り入れやすかったのは、
特別な食材ではなく、
冷蔵庫にいつでもある ほうれん草 だった。
ほうれん草は血を補う代表的な食材。
ゆでてお浸しにすれば数分でできるし、
味噌汁に入れればそれだけで栄養の底上げになる。
忙しい朝でも、緑の一皿があるだけで
「今日はちゃんと栄養を入れられた」という
小さな安心が胸に広がる。
■ 血を補う食材は、身近なものばかり
・ほうれん草
・ひじき
・黒ごま
・なつめ
・プルーン
・レバーが苦手なら、少量の赤身の肉や豆類でもOK
どれも特別な料理じゃなくていい。
“少し足すだけ”で十分。
たとえば、
いつもの味噌汁にほうれん草を入れる。
サラダに黒ごまをひとふり。
午後にプルーンを2つ。
これだけでも、体の中の血の材料がそっと増えていく。
■ 「補った」という記録が、不安を静かにほどく
動悸やめまいが続くと、
私たちはつい「またこんな症状が…」と自分を責めてしまう。
でも、
“今日、自分に何を与えられたか”
を記録すると、
その責める気持ちが少しだけやわらぐ。
・ほうれん草を食べた
・温かい白湯を飲んだ
・部屋の明かりを落として早く休んだ
・深呼吸を3回だけした
どれも小さなこと。
でも、その小さな積み重ねが、
翌日の動悸や不安を静かに支えてくれる。
血を補うという養生は、
大きな努力ではなく、
“自分の体に戻っていくための習慣” だ。
■ 大げさじゃなくていい。足りなかったものを少し戻すだけでいい
不安な夜も、
ふわっと視界が揺れた朝も、
体が乾いていたから起きたサインかもしれない。
血と潤いを戻すと、
心の揺らぎは、少しずつ形を変えはじめる。
補うことは、
自分を守る優しい選択。
未来の自分を助ける静かな行為。
今日の小さな一皿が、
明日の不安をそっと緩めてくれる。
今日の日記に書きたい一言
動悸がした日。
視界がふわりと揺れた日。
抜け毛が増えて、鏡の前でふっとため息が落ちた日。
40代の体は、思っている以上に繊細で、
ほんの少しの乾きや疲れで揺らぎやすくなる。
それを責めたくなる夜が、必ずある。
「また不安になった」
「しっかりしなきゃいけないのに」
「弱いな」
そんな言葉が頭の中でこだまするとき、
私たちはつい“原因をすべて自分の性格”のせいにしてしまう。
でも、手帳に今日を書き残していくと、
その不安が“違う形”を持ちはじめる。
動悸は、体の乾きがつくった静かなサイン。
めまいは、血が少し足りなかっただけの合図。
抜け毛も、肌のカサつきも、心の揺らぎも、
あなたの弱さではなく、
ただ 血や潤いが少し減っていただけ──
そう思える瞬間が、ふっと胸に灯る。
■ 不安の日こそ、短くてもいいから言葉を残す
長い文章でなくていい。
一言だけでもいい。
・今日は動悸が気になった
・乾燥が強かった
・心が落ちやすい日だった
・眠りが浅かった
・食事が軽すぎた
その一行が、
明日のあなたを助ける“確かな証拠”になる。
手帳に書くのは、弱さの記録ではなく、
体がどう揺らぎ、どこで助けを求めていたのかの地図。
今日の症状は、今日のあなたを否定するものではない。
むしろ、未来のあなたに「気をつけてね」と伝えてくれる
小さな手紙のようなもの。
■ 体の声を聞けるようになると、不安は少しずつ輪郭を変える
動悸やめまいを怖いと感じるのは、
それが突然“理由なく”やってくるからだ。
でも、
「血が少し足りなかった」
「乾きが強かった」
「眠りが浅かった」
と分かると、揺らぎの原因に手が触れられる。
それだけで不安の温度が下がる。
体はいつも理由なく揺れているわけではない。
血と潤いの波に合わせて、静かに動いているだけ。
それを手帳で読み解けるようになると、
怖さは知識に変わる。
知識は、安心に変わる。
■ 今日の終わりに書きたい一言
夜になって、そっとペンを置く前に
こんな一行を残したい。
「今日は、潤いが少し足りなかっただけ。」
「補えば戻る。」
この言葉は、
責めるかわりに、自分を抱きしめるお守りになる。
血も潤いも、足りなければ満たせばいい。
不安な日は、補えば軽くなる。
揺らぐ日は、休めば戻る。
体は壊れているわけじゃない。
枯れかけただけ。
水をやれば、また静かに巡りはじめる。
明日、今日より少しだけ心が落ち着きますように。
体の中のうるおいが、静かに戻ってきますように。
今日も小さな養生を。
Wrote this article この記事を書いた人
ミカ
手帳と暮らすミカです。 薬剤師・和漢薬膳師として、心と体の「めぐり」を見つめながら暮らしています。 40代を迎え、心や体の声に耳を澄ます日々。 手帳を開く時間は、私にとって小さな養生であり、静かな儀式です。 ここでは、ほぼ日手帳に綴る日々の出来事や心の揺れを通して、 「人間らしく生きる」ためのヒントを探しています。